アマプラで何度も何度も私へのオススメに出てくるので見た。
ヴィムヴェンダースの映画を見るのはたぶん20年ぶり。ベルリン・天使の詩以来かな。他にもしかしたら王家衛の参加したオムニバスの中に一作あったかもしれないけど、記憶にない。
気がつくと80歳近いということでだいぶ驚いたけど年齢じゃないわね。
今年度最初の映画で、早朝から見ていたけど子どもが起きてきてしまったので前半まで。
映像が美しく、夢の中ではモノクロで。乾いた感じがする。
淡々と暮らす主人公はまるで森で隠遁して暮らすような人のようでそれでも、ちゃんと人間らしい。
この間"素晴らしき世界"を見たんだけど、ちょうどそれのパラレルワールドのような展開になっている。役所広司の演技が凄くて、同じような境遇でまるで別人だ。
主人公はフォークナーを読み、幸田文を読むインテリだが、過去の何かしらの要因から、浅草六区か墨田区か下町あたりに住んでいて、六畳風呂無しのアパートで暮らし、トイレ掃除を業としている。
淡々として今時の晴耕雨読のような感じである。
明治時代の文学だと、門じゃないが世捨て人のように零落してるとかいう感じになるかもしれないけれど、
今時はその程度に人の世に関わっていないことは不思議でもなんでもなく、むしろポジティブにみえる。
世界を拒否しているとか、そうではなくて、もはや80才であるかのように、しかも子供のように、いかにも達観して今を生きている感じに見える。
結局はたぶんそれはこの人の知性のなせる技とかそういうのもあるのかもしれないけれど。
何がこの人をここまでにさせたのか。
そこまで、今日見たところ。
とてもよかった。今に引き戻される。
年の初めの一本にふさわしい。